コメントが無い理由を考える前に、JSON がそもそも何のために生まれたのかを整理します。このページは、json.org・RFC 8259・ECMA-404 の記述から、JSON の出発点と位置づけを追います。

出発点は Ajax

json.org の「JSON: The Fat-Free Alternative to XML」によると、出発点は Web アプリのデータのやり取りでした。ページ全体を置き換えるやり方より効率のよい方法(Ajax)が必要になり、JavaScript のオブジェクトリテラルをネットワーク越しにデータを送る形式として使う、という発想が生まれます。

同じ発想には、複数の人が独立に行き着いたと書かれています。Crockford 自身は、次のように述べています。

I made my own discovery in April of 2001 when I was CTO of State Software.

出典: https://www.json.org/fatfree.html(取得日: 2026-09-22)

「私自身は、2001 年 4 月、State Software の CTO だったときに発見した」という意味です。共同で始めた人物や最初の実装など、当時の細かい経緯は、取得した文書には出てきませんでした。

比べられた相手は XML

json.org はこの文書で、JSON を XML と並べて説明しています。JSON の単純な値は、プログラミング言語で使う値と同じです。配列・オブジェクト・レコードのようなデータ構造を、JSON は直接表せます。XML では、これらを表すのに変換が必要になります。

この文書が挙げているのは、次の 2 点です。

  • プログラミング言語のデータ型を、そのまま表せる
  • 構文が単純で、解析が効率的である

XML の欠点を直接批判する文章ではなく、「データ構造をそのまま書ける」という長所の説明です。

標準化された文書での位置づけ

JSON は、その後 2 つの標準に整理されました。

RFC 8259 は、JSON を「軽量で、テキストで、言語に依存しない、データ交換の形式」と定めています。

a lightweight, text-based, language-independent data interchange format

出典: https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc8259(取得日: 2026-09-22)

json.org も同じ位置づけで、ECMAScript 第 3 版(1999 年 12 月)のサブセットに基づく、人が読み書きしやすく機械が解析・生成しやすい形式だと説明しています。

ECMA-404 は、有効な JSON テキストの構文だけを定義します。JSON テキストを言語のデータ構造にどう取り込むかは、意図的に定義していません。

It also intentionally does not define how a valid JSON text might be internalized into the data structures of a programming language.

出典: https://ecma-international.org/publications-and-standards/standards/ecma-404/(取得日: 2026-09-22)

設定ファイルの書式ではない

ここまでの記述に共通するのは、JSON が「プログラム同士がデータを渡すための形式」として作られた、という点です。

すると、人が手で書き続けるファイルに JSON を使ったとき、コメントが無い不便さが出てきます。設定ファイルは、書いた本人が後から読み返し、別の人が読むものだからです。

ただし、この関係は私の推測です。json.org・RFC 8259・ECMA-404 のどれにも、「JSON は設定用ではない」と書いた箇所は確認できませんでした。

確かに言えるのは、次の 2 つです。

  • JSON は、データ交換の形式として作られ、そう位置づけられている
  • その文法に、コメントの仕組みは無い(前のページ)

次のページでは、なぜコメントを外したのかについて、伝えられている説明を見ます。