Bluetooth のスピーカーやイヤホンを使っていると、近くにある自分のものではない機器について、自分のスマホに「接続しますか」と案内が出ることがあります。案内が出るのは機器の側ではなく、自分のスマホの画面です。このページでは、その案内がどこから来て、なぜ知らない人の機器についても出るのかを、Android の Fast Pair の仕様から説明します。iPhone やメーカー独自の仕組みは調べていないので、ここでは扱いません。

案内を出しているのは、自分のスマホ

Fast Pair は、Google が定めた Bluetooth 機器の素早いペアリングの仕組みです。機器側(仕様では Provider)が 広告(advertising) を流し、スマホ側(Seeker)がそれを拾って案内を出します。

ここで「広告」は、画面に出る接続案内のことではありません。BLE(Bluetooth Low Energy)で、機器が周囲に流し続けている小さな電波のことです。「ここにいます。私の Model ID はこれです」という呼びかけで、宛先は決まっていません。接続案内の半画面は、この広告を拾ったスマホの OS が出します。

  • 広告:機器(スピーカー)の発信
  • 案内:スマホの表示

ペアリングモードのときに流れるもの

機器がペアリングモード(接続待ち)のとき、広告には 24 ビットの Model ID が入る。Model ID は機種を表す番号で、スマホはこれをもとに「どの機器か」を判断して案内を出します。仕様には、広告の間隔についてこう書かれています。

The interval between advertisements should be no larger than 100ms (10Hz).

出典: https://developers.google.com/nearby/fast-pair/specifications/service/provider(取得日: 2026-09-21)

100 ミリ秒以下の間隔で、1 秒に 10 回以上流し続けるということです。広告に「誰に向けたものか」を示す項目はありません。だから、近くにいるスマホなら誰のものでも拾えます。

Fast Pair の利点と、案内が出る理由

Google の説明では、Fast Pair のユーザー向けの利点は、速く省電力なペアリング、イヤフォンからスピーカーまでの幅広い対応、バッテリー通知や名前設定などの追加機能です。設定画面で機器を探してタップする手間を減らすために、機器を見つけたら向こうから案内を出します。知らない人の機器の案内が自分のスマホに出るのは、その設計の裏返しであって、故障や侵入ではありません。

では、一度つないだ機器と初めての機器を、スピーカーとスマホはどう見分けているのでしょうか。次のページで、広告に載るもう 1 種類の情報を見ます。