このページでは、食レポでたとえを効かせる方法を扱います。要点は 1 つで、相手も知っているものを基準に置くことです。基準が共有できれば、聞いた人は自分の記憶から大きさや食感や味を取り出せます。
言葉 1 つで、受け取られ方が変わる
たとえの前に、言葉選びがどれだけ効くかを示す例を 1 つ挙げます。食品の官能評価(人の感覚で食品を評価する方法)では、評価項目にどの言葉を使うかで結果が変わることが知られています。
例えば,フランスパンの心地よい歯切れを評価する項目に,「パリパリ感」,「バリバリ感」,「カリカリ感」,「ガリガリ感」等のいずれを使うかによって,結果が異なることがある。
出典: https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/41/2/41_148/_pdf(取得日: 2026-09-27)
同じパンを食べてもらう評価の場でさえ、言葉 1 つで結果が変わります。食レポを見ている人ならなおさらです。「パリッ」と「バリッ」では、思い浮かべる皮の厚さが違います。たとえを使うのは、この受け取り方のぶれを、相手の記憶に寄せて小さくするためです。
型 1:大きさ・量は身近な物と比べる
「大きい」「たっぷり」は、人によって思い浮かべる大きさが違います。手に取ったことのある物と比べると、ぶれが減ります。
- 「ピンポン玉くらいの唐揚げ」
- 「手のひらからはみ出すくらいのハンバーグ」
- 「スマホくらいの厚さのトースト」
映像で大きさが見えていても、比べる物を言うと、画面の中の縮尺が分からない人にも伝わります。
型 2:食感は触ったことのある物と比べる
オノマトペで言い切れない食感は、口以外で触ったことのある物に置き換えます。手や指の感覚は、多くの人が共有しています。
- 「マシュマロを指で押したときのような柔らかさ」
- 「つきたてのお餅みたいに、箸で持ち上げると伸びる」
- 「濡れた紙のようにしんなりした海苔」
ここでもオノマトペと組み合わせると強くなります。「ふわっと柔らかい。指で押したマシュマロくらい」のように、先に言葉で方向を示し、たとえで程度を決めます。
型 3:味は、知っている味と比べる
味は、いちばん言葉にしにくいものです。「甘い」「辛い」は方向しか言っていません。基準になる味を置いて、そこからどちらにどれくらいずれているかを言います。
- 「コンビニのプリンより卵の味が濃い」
- 「家のカレーより辛くて、スパイスの香りが強め」
- 「炊きたてのご飯みたいな、噛むほど出てくる甘さ」
基準は、相手がほぼ確実に食べたことのあるものを選びます。特定の店の味は、知っている人には強く効きますが、知らない人には何も伝わりません。
数字と事実は、たとえの代わりになる
たとえが思いつかないときは、数字や事実を言うだけでも情報が増えます。
- 「12 時間煮込んだ」
- 「注文してから揚げている」
- 「北海道産の小麦だけで焼いた」
これらは味そのものではありませんが、聞いた人が味を想像する手がかりになります。
たとえが外れるとき
たとえが効かないのは、基準を相手と共有できていないときです。自分しか知らない店、世代によって知らない商品、地域でしか通じない食べ物は、基準として使うと空振りします。迷ったら、給食、コンビニ、家庭料理のように、多くの人が通ってきたものに寄せてください。